Ich glaube, man sollte überhaupt nur solche Bücher lesen, die einen beißen und stechen.
- Franz Kafka「人に噛みつき、刺すような本を読むべきだと思う。」
ドイツの作家カフカの言葉。『変身』という作品が有名で、読んだことがある人もいるかもしれません。
僕の生活に読書は欠かせません。ドイツにやってきた当初は、ドイツ語の勉強にほとんどの時間を費やしていました。ドイツ語の本も苦労しながら読めるようにはなってきましたが、どうしても内容より分からない単語や文法に意識がいってしまいます。日本語の本を読まないと、自分の考えの幅がなかなか広がらないことに気づき、ここ最近は読書の時間を確保するようにしています。
読書する際に大切なのは、「どんな本を読むか」。限られた時間を使って読む本ですから、できるだけ質の高い本を選びたいものです。僕が本を選ぶ基準にしたいと思ったのが、冒頭のカフカの言葉です。つい最近読み始めた『ツァラトゥストラはこう言った』という本があります。すらすらと読めるわけでもなければ、内容を全て理解できるわけでもない。それでも、読んでいると、心のどこかに「噛みつき」、「刺」さってくる。めったにできる体験ではありません。
ただし、考え方や知識の幅を広げるために読書は欠かせないものではありますが、その読書が読書のままで終わってしまってはいけないと思います。福沢諭吉も『学問のすすめ』の中で、こう言っています。
「人の勇力はただ読書のみによりて得べきものにあらず。読書は学問の術なり、学問は事をなすの術なり。実地に接して事に慣るるにあらざればけっして勇力を生ずべからず。」
読書はあくまでも学問の方法の一つであり、その学問もまた、実際に何かを実行するための手段なのです。書物から得た知識や、読書を通じて考えたこと、感じたことを、実地にいかに生かすか。頭の片隅にこういう意識を置いておくことで、読書から得られるものの大きさが変わってきます。
『ツァラトゥストラはこう言った』はまだ通読まで至っていませんが、この本を読んでいて僕なりに思ったことがあります。それは、本当に心に噛みつき、刺さるような本を読み、そのときに感じることというのは、簡単に言葉にはならないということです。感想を求められても、その場ですぐには言い表せない。
「言葉にならないものを心の中に残す本」。これは、僕なりの「面白い本」の基準の一つです。
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